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探索してみると、何輪か咲いていた。そのうちのいくつか束にして毟り、ポケットに入れた。元の場所へ泳ぎ、また宇宙空間を泳ぎ始めた。
泳いでいると、超音波のような、聴いたことのない音が聞こえてきた。宇宙空間では音は聞こえないはず。もしかして、宇宙船だろうか。
それほど珍しいものではないが、宇宙船保持者は大体が軍隊か研究者だ。国家的な道具でもあるから、宇宙船すべて味方してくれるとは限らない。僕が所属していた軍隊と敵対していた軍隊が乗っている可能性だって十二分にある。
怖いけれど少し近づいてみるか。
宇宙船は円盤の形をしていた。
窓が付いていて、中の様子がうかがえる。
中に乗っているのは、先ほどあったタコと同じ種族だろう、タコが乗っている。タコは複数いて、そのうちの一人がこちらに気付き、触手を一本上に掲げて振っている。僕も手を振り返した。すると、中からそのタコが下りてきた。
「やあ、どうしたの?まいご?」
「うん、迷子だよ」
「そうかあ、うちゅうはひろいしこうだいだからね」
広いと広大は同じ意味では……?
「そうだ、もくてきちまで、のせてあげようか?」
その方が確かに早いかもしれない。しかし、どうしたものか。
「ぼくらはちきゅうにいちどいったことがあるんだけど、きれいなほしだったよ。きみもちきゅうにいくの?」
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