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zwei,宇宙空間
気が付いたら、そこは宇宙空間だった。下を見れば、僕の住んでいた星が浮かんでいる。
「念じればそこに行ける」というのは、嘘だったのだろうか。ここから月まで、どれほどあるんだろう。僕の住んでいた星から見えるということはそれほど遠くはないはず。ほかに誰かいれば、その人に話を聞いてみるか。
水の中を泳ぐように、宇宙空間を当てもなく泳いでみる。
苦しくはない。でも、真っ暗で、方向感覚も狂うから気持ち悪くなってきた。これは仕方がないこと。ひたすら、ひたすら自分がまっすぐだと思う方向へ泳いでみる。
すると、前の方に人影が見えた。声をかけても多分、声は届かないだろう。もう少し進んでみることにした。
先ほどの人影は、どうやら宇宙空間を漂うタコのようだ。
「やあ」
タコが話しかけてきた。
「きみはどうしてここにいるんだい?」
「あなたこそ、どうして?」
「ぼくね、たびをしてるんだ。うちゅうのたびだよ。しんぴてきだよね」
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