三人それぞれの思い

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三人それぞれの思い

◎三人それぞれの思い 玄関で智也を迎えた。 「智也」笑顔で智也を見つめる玲子。 「突然、ごめんな。田舎のばあちゃんからイチゴと米が送られて来たんだ。で、おすそ分けに……」 ビニール袋をガサガサいわせながら、智也の視線が玄関にあった男性ものの革靴に止まった。 「あ、誰かお客さん?」 顔をあげた智也。 「オッス、智也さん」 いつの間にか玲子の隣には、シャカシャカで丈の短いジャージを着ている西が立っていた。 「……徹」 「なんだよ。驚くとこかねー」 西は、玲子の後ろへ周り背中から玲子を抱きしめてみせた。 「何言ってんのよ! 違うの。智也、あのね」 西が家にいる事情を説明しようとする玲子。 大きな瞳を更に見開いて、智也は瞬きを数回連続でした。 「玲子の……ジャージ」 智也が、ぼそっと呟いた。 「そうなんすよ。着替えが無くてね」 玲子は、急いで西から体を離して、振り返り西を睨んだ。 「何言ってんのよ! ちょっと!」 ーーー変なこと言わないで! 智也が誤解する。 横を向いて、無視を決め込む西。 ーーー呆れた。なんなの! この人! 「智也、あのね」 言いかけた時に、智也がニッコリ微笑んだ。玲子に持ってきたビニール袋を手渡して、うんうんと頷く。 ーーーえ? 何? 「良かったな。徹。玲子とうまくいってんだな」 智也の言葉に、玲子は智也が持ってきた重いビニール袋を受け取ったまま目眩をおこして倒れそうだった。
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