待ってた

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「玲子が好きだ。遅いか? 玲子、お前は……もう、徹が好きなのか?」 輝いている瞳は、智也を更に素敵に見せていた。 ーーー智也が私を好き? 信じられない。長年の片思いがもしかしたら、報われたの? 「玲子、俺を友達じゃなく……男として見られないか?」 ーーー愚問だよ。智也。私にとって智也は、いつでも男だった。意識してみていた。勇気が出なくて、この関係を壊したくなくて自分の気持ちを封印してただけ。 玲子は、首を横に振った。ぶんぶんと横に振り続けた。やっと、今自分の身に起こっていることが現実味を帯びて感じられてきていた。 両腕に智也の大きな掌の温もりを感じた。目の前に智也の今まで見たことのない自分に向けての男みたいな表情を見つめた。 いつだって、好きだった。こんな風に突然想いが報われるなんて考えていなかった。 「やっぱり、もう……徹が好きか?」 ーーー違う。私が好きなのは、ずっと智也だけだよ。 黙って首を振り続けた。 ーーー智也、私が好きだって言ってくれたこと……信じていい? もう一度、智也を見上げた。 ーーーなんでだろう。智也が歪んで見えるわ。だんだん、目の前にいるのが智也かどうかもわからないくらいに。 「泣いてる? 玲子。ごめんな。困らせたか?」 ーーー優しい智也。大好きな智也。 玲子の頬にいつの間にかこぼれ落ちた透明な雫を智也の指先が、そっと拭って行く。 「ごめん。玲子。もう……困らせないよ」 困ったように眉毛をハの字にする智也。 「ううん、智也。私も智也が好きなの。ずっと……ずっと前から」 せきを切ったように溢れ出す涙。 「ずっと……好きだったのぉ」 止められなかった。溢れ出す涙を両方の掌で覆って隠した。 しゃくり上げるのをやめられなかった。 「玲子」 智也の優しい声。智也の指先が顔を覆っていた玲子の両方の手に触れた。
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