待ってた

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「ごめん。玲子。すぐに玲子を手に入れたくなった。でも、そういうのって、まだ…違うよな? 」 智也は、コートをハンガーにかけた。ジャケットも脱ぐとシャツの袖を腕まくりし始めた。 「パスタ、作ろうか。お腹すいただろ?確かさぁ、まだ麺あったよな?」 「うん」 手を洗ってから、勝手知ったる我が家みたいに、智也は鍋を出してお湯を沸かし始めた。 ーーーいつもの智也だ。 なんとなく、ホッとしていた玲子。 ーーーひどく緊張する。いつもと同じように笑った智也。でも、どこか雰囲気がいつもと違う。これが、智也が私を女として意識している空気感だろうか。 息が苦しい。 なんだか……私は、智也に触れたかったはずなのに。触れられたかったはずなのに。今は、ギャップに戸惑っている。 思考が追いつかない感じだ。 キッチンに並んで、智也と料理を作る。 いつもしてた。それなのに、たまに智也の熱い視線を感じる。 緊張しすぎて、ベーコンを切る玲子の手が震えた。 「かして、玲子」 玲子の後ろに立って、ベーコンをおさえる玲子の手の甲に智也の手が重なる。包丁を持つ手にも智也の手が重なる。 震えた手が智也のおかげで震えなくなり、綺麗に切れたが耳にかかる智也の息のせいで肩に力が入ってしまう。 背中に伝わる智也の体温。
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