待ってた

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「大丈夫なの? 襲われたんでしょ。また襲われるかも」 そう言った玲子に西は、少しだけ笑った。 「心配してるの? いつまでも逃げてられない。決着は、つけないとね」 玄関で革靴を履く西。 「安心して。家に着いたら連絡する」 「別に、心配してる訳じゃないけど」 口を尖らす玲子。 尖らせながら、優しい西の視線に出会った玲子は戸惑っていた。 ーーーなんだろ。こんな優しい表情する人だった? もっと無表情で怖い顔だったはず。私ったら、この人の無表情に慣れたのかしら? だから、少しほぐれただけなのに優しい感じだなんて思ったりして……。 『家に着いたら、連絡する』 昨日の夜にそう言ったきり、家を出て日付も変わり朝になり、昼が過ぎた。 ーーーもう、夜になるんだけど……。まだ、連絡もしてこない。心配してる訳じゃないけど、普通自分で言ったことなんだし、常識で考えれば……。 「鹿島さん、ちょっといいですか?」 バイトの子に呼ばれて、玲子は頷いた。 ーーー『週末空けとけ』だなんて。あの言葉も本気じゃなかったのかも。 肩をすくめて玲子は、椅子から立ち上がった。
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