待ってた

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待ってた

◎待ってた 何にも無かったみたいに朝が来て、何食わぬ顔して会社に来て、普通な振りして仕事をする。 ーーーみんなも色々あるんだろうか。 知らない所で泣いたり、悩んでいたとしても他の人にはわからない。心の中までは見ただけでは、絶対に理解できない。 玲子は、瞳と一緒に昼ごはんを食べていた。 今日はカレイの煮付けをメインにチョイスした。 「ね、玲子。山崎は、告白でもしてきた?」 「あ、ううん。ごめんね。報告してなくて」 「しなかったの? あいつ」 コンソメスープの入ったカップを持ち上げる瞳。 「先に私が好きな人がいるって言ったから」 「振るのは、気が引けたから牽制したんだ?」 カップに口をつける瞳。 「うん。悪いと思って……。もし、何か言われても私は、山崎さんに何も応えられないから」 箸でカレイの身をつつく玲子。 「そりゃあ、告白してokしてもらえたら……その方がいいに決まってるよ。でもね、たぶん山崎は、言いたかったと思う。自分の気持ち言ってスッキリしたかったんじゃないかなぁ」 ーーー瞳が言うように、後から考えると山崎さんの気持ちを聞いて、きちんと受け止めて返事をするべきだったと思う。山崎さんを傷つけないようにと、気持ちを聞く前に好きな人がいると先に伝えた。 配慮したつもりだったが、そうするべきではなかったかもしれない。 玲子は、カレイの身を口へ入れながら考えていた。 ーーー人の気持ちは、わからない。本人にしかわからないものだ。 テーブルに置いているスマホを眺めた。 ーーーあの人、昨日私にキスしたくせに あれから連絡もしてこないんだ。側にいるとか上手いこと言って……。
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