隣の朝ごはん

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俺は今日もばあちゃん家に、朝ごはんをご馳走になりに来た。ばあちゃんはまだ、あのギターを捨ててないみたいだ。 「いつもケンちゃん達が来てくれるから、ばあちゃんは本当に嬉しいんだよ」 ばあちゃんは俺を撫でる。俺はハァハァして、尻尾(しっぽ)が止まらない! 「堅一(けんいち)堅二(けんじ)、息子達が事故で亡くなってから、わたしはもぉどうしていいか分からなかったけど、今はあんまり淋しくないかもねぇ」 ケンイチ、ケンジにギター…懐かしい味噌汁の味。 何かが繋がったようだったが、何とも信じがたい。 俺は生きてるし、犬だし、たまたま名前が同じだけの犬のはずだし… でも…この懐かしい味噌汁の味は間違いなく …お袋の味だ。 思いだせそうで、思い出せない けど…なぜか、色々な思いが込み上げてくる。 好き勝手ばかりしてごめん。 迷惑かけてばかりでごめん。 親孝行ができなくてごめん。 ばあちゃんが俺を撫でる度、涙の代わりにハァハァが止まらなかった。
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