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“あ”『朝』
私には少し変わった日課がある。
きっかけは、ほんの数日前のこと。
七月某日。午前五時過ぎ。
何故だろう。目覚ましもセットしていないのに、スッキリと目が覚めてしまった。
二度寝をしようと再び目を瞑ってみたけれど、こんなときに限って、睡魔は相手をしてくれないようだった。
早起きは三文の得とも言うし、たまにはこんな休日も良いかなと思い、私はカーテンの隙間から外を覗いてみた。
外はすっかり明るくなっており、空は綺麗な夏色をしている。今日も暑くなるだろう。
突然、窓の外を誰かが通りかかった。
朝のジョギングだろう。何気なくその人に視線を向けると、私はその男性に釘付けになってしまった。
何故ならば、その人が自分の好みに、驚くほどにピッタリだったからだ。
その日は特に何も予定がなく、私はずっと、今朝見た彼のことを考えていた。
清潔感のある短髪は綺麗な黒髪だった。涼しげな目元が特に素敵だったと思う。綺麗すぎないけれど整った顔立ちというのだろうか。
一体、どこの人なのだろう。
勝手に性格を考えてみようか。
誰にでも優しい穏やかな人。
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