“あ”『朝』

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 活発で努力家な体育会系。  普段はクールで、たまに見せる笑顔の破壊力が(すさ)まじい年上キラー。  女子の誰もが憧れる王子様系。  どこまでも付いていきたくなる俺様系。  色々考え出すと止まらない。声は? 仕種(しぐさ)は?  あれ? なんか、こんな事を考えている私って、もしかして気持ち悪い? 「彼氏なんて、いつか私の前にも現れる日がくるのかなぁ……」  早朝の静まり返った部屋に(つぶや)かれた声は、やけに大きく響いた気がした。  彼氏のいる友人たちは私に言う。  待っているだけでは何も始まらない。  面食いならば自分から動き出さなければ、誰かに先を越されてしまうよと。 「自分から動き出す、か」  仮に動き出すとして、どうしたら良いものかと考えてみる。  今朝の彼とどうやって知り合う?  自分もジョギングを始める?  それとも、新聞を取りに行くふりをして挨拶をしてみるとか?  でも、彼にはもう彼女が――? 「やーめた」  どうせ声なんかかける勇気なんて出ないし。  今までだって、遠くから見ているだけの片想いで満足していたではないか。 (一瞬で終わる恋なんて嫌だし。っていうか、まだあの人に恋をしたわけじゃないし)  そう自分に言い聞かせた。     
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