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そう、そうなのだ。
まだ恋に落ちたわけではないのだ。
好みのタイプの人を見かけただけの事。
まだ、恋なんて。
八月某日。午前五時過ぎ。
今朝も目覚ましより早く目が覚めた。
耳を澄ますと、あの人の足音が微かに聞こえてくる。
私はベッドから出ると、カーテンの隙間から外を覗いた。
涼しげな瞳をしたあの人が、今日も軽やかな足取りで通り過ぎていく。
彼の背中を見つめながら、私は今日も、静かに溜め息をついた。
*了*
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