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“い”『イメージチェンジ』
背中まであったロングヘアを、とても短く切った。ああ、首がスースーする。背中も寒い。
切った理由は、ずっと片想いをしていた人に、彼女が出来てしまったからだ。
好きな相手に積極的に関わろうとしない私は、いつも片想いで終わってしまう。
またか、という感じ。
珍しくはないのだ。
悲しいけれど。
きっとまた素敵な人は現れる。
そしてまた恋に落ちる。
その人の姿をこの目に映すことが出来れば、それだけで幸せ。
そしてまた、その人は誰かの彼氏になってしまう。
そんな恋のループを、私は彷徨い続けている。
不思議と、このループから抜け出したいと思ったことはない。これがきっと、私の恋なのだと思う。
それがいつまで続くのかとか、この先の未来はどうなっているのだろうかとか、そんな事は、まだ考えたことはない。
「よし、髪も切ってさっぱりしたし、気分転換に散歩でもしてから帰ろうかな」
今日は素晴らしい快晴だ。風も穏やかで爽やかで、本当に気持ちの良い散歩日和だった。
見上げれば、真っ青な空と綺麗な若葉が視界を彩り、瞳を閉じれば、美しい鳥たちの歌声が聴こえる。
世の中はこんなにも穏やかだ。
私は大丈夫。
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