問題だらけの私たち

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 3ヶ月程の入院の後、私は退院した。入院する前にしていた仕事は、辞めてしまっていたので、私は新しい仕事を探した。なるべく心身の負担にならない、軽めの仕事を探し、結局短時間のスーパーのレジ打ちをすることにした。退院早々、無理をしてはいけない。  氷川とは週1くらいのペースでデートを重ねていた。仕事も見つかり、彼氏とも仲直りし、まずまずの穏やかな生活・・・そう思いたかった。しかし私には、氷川にはいえない、秘密があった。  私より1ヶ月はやく退院していた、霧島のことについてだった。  私と霧島は、例の事件以来、友達同士にもどっていた、はずだった。が、実は私と霧島は、霧島からの誘いで、月に何度か会って、ドライブにいったりお茶をしたりしていたのである。霧島は、私と氷川は別れたものだと思いこんでいた。  だったら氷川とヨリをもどしたことを霧島に伝えればいいものなのだが、そういうわけにもいかなかった。  あの、例の暴力事件。私が氷川とヨリをもどしたことを伝えたらどうなるか。それを考えると恐ろしく、私は、霧島からのドライブやお茶の誘いを断れずにいた。とはいえ、友達同士である、ということについては、きちんと一線をひき、キスをしたり抱き合ったりということはしなかったのだが。  その日も私と霧島は、霧島の運転でドライブに出かけていた。私の誕生日が間近にせまった土曜日のことだった。  「もうすぐ誕生日だなあ。」  霧島が言った。霧島は、近くのコンビニエンスストアの駐車場に車をいれた。ふたりでペットボトル飲料を買って車にもどると、霧島が自身のカバンからキレイに包装された包みを取り出し、私に手渡した。  「これ、誕生日プレゼント。喜んでくれるかどうかわからないけど・・・。」  「あ、ありがとう、霧島さん。」   「ちょっと開けてみ?」     言われるままあけてみると、十字架のネックレスが出てきた。美しいその造形を見ながら、私の心は震えあがっていた。  そのネックレスは、あきらかに霧島が今日つけてるネックレスと、お揃いだったのだ。        
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