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もういいかげん、真実を霧島に伝えなくてはならない。
その日の夜、私は布団にくるまりながら考えた。さすがにこんな事までされると、もう黙ってるわけにはいかない。
真実を伝えたら霧島はどんな顔をするだろう。殺されるかもしれない。でも言わなくては・・・。
私は、次の土曜日に、霧島に会って、真実を伝えることに決めた。スマホを取り出し、霧島に連絡をいれる。大事な話があるから会いたい・・・。霧島から承諾の返事がくる。
次の土曜日に私の運命は決まる・・・。
あっという間に一週間がすぎ、土曜日がやってきた。
私と霧島は、とあるカフェで、向かい合って座っていた。
しばらくの沈黙のあと、私はきりだした。黙っていて悪かった。今私は元彼とヨリをもどしている・・・。
霧島はしばらく黙っていた。私の背中を冷たい汗がつたっていく。やがて霧島が口を開いた。
「俺ね、きみに感謝していることがあるんだ。」
意外な言葉に私は目を丸くした。霧島は続けた。
「きみはもう忘れちゃてるかもしれないけどさ。入院中きみが口にした言葉に俺はすくわれたんだ。」
私は首をかしげた。
「きみはこういったんだ。今まで頑張って働いてきたんだから、少しくらい休んでもいいんじゃないかって。・・・きみは俺にとって女神なんだ。俺、待つよ。きみが今の彼氏とこの先どうなるかわからないけど、きみのこと、待ち続ける。」
罵倒されるかと思っていたから、霧島のこの言葉は意外だった。
「無理矢理奪ったりはしない。ただ待つ権利を俺に与えてほしい。」
「わかった・・・。」
私たちはカフェをでた。きれいな夕日が街を染めている。
私たちは見つめ合って、固い握手をした。
そしてそれぞれの家路についた。それぞれの思いを胸に秘めて。
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