魔王クレムリン

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「?スー何処行くの?」 お茶とお菓子を食べ終えた俺は席を立った。 お茶のおかわりをするためでは無い。 流石のリアは、それに気付いたようだ。 「ちょっと実験をしに行こうかなと思って。もうすぐ昼だし。ついでに何か取ってくるわ」 「あり、もうそんな時間だった?じゃあ僕も行こうかな」 「じゃ、行ってきまーす」 玄関のドアに手を掛けると、後からバン、と背中を叩かれた。 いてぇ。 じんじんする。 「あの中に私を置いていこうとするな。死ぬ」 俺の背中を叩いた人物の正体はダニエルだった。 いー、と、苦そうな顔をしているのには俺もアルも苦笑するしかない。 「まぁ、リンリンには可愛そうだけど、耐えてもらうしか無いね」 あの質問攻めは実に恐ろしい。 一度始まれば終わるまで余裕で3時間はかかる。 あの現場に居たくないのはそれを聞かされる方も身動きがとれず、退屈するからだ。 時々そのとばっちりが回ってくる事もあるし。 「で、スーの実験は何だ?」 「何か怪しーの企んでる?」 「何故、そうなる」 コイツ等の予想はちょっと危険色に着色されている。 全く、どうしたらそんな事を考えつくのかって程の。 「新しい範囲指定の魔法だよ。場所と範囲を指定すれば、複数人を同時に相手出来る。敵に背中を見せなくて済むようになる魔法だよ。新しく、作ってみようかと思って」 「「…………スーって、つくづく規格外」」 それは酷い評価だ。 こんな魔法があったら楽だと思って作ってるだけだからね。 そうでなきゃ態々作ったり何かしないよ。 「んじゃま、実験するとしますかー!」 「「スー悪魔……」」 ん?何か酷い言葉が聞こえたような? 悪魔なんて聞こえてないよ? うん、聞こえてない! 悪魔って、何!
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