魔物災害

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あれから2年が経ち、俺は9歳になった。 泣き虫アーロは今尚健在、あと少ししたら中学校に上がりおさらばだ。 4歳になったアリスは可愛すぎて更にシスコン度が上がってしまったように感じる。 「スー、今日会議なんでしょ?帰って来るの遅い?」 「さぁ?どうだろう?分かんない。でも、なるだけ早く帰ってくるね」 「うん!」 今日は緊急会議とかで帝が全員集めれれる。 内容は知らされて無いから、よく分かんないけど、緊急会議と言うからには、何かヤバいんだろうな、と思う。 【テレポート】 「あ、スー、良い所に来た。ちょっとコレ手伝ってくれ」 始めて見たときよりは大分山が減ったデラパスさんの机。 それでもまだこんもりと残っている。 作業効率の悪さはいつも通りだ。 「はいはい、やりますよ。もうちょっと効率良くなったりしないの?」 「する訳がないだろ?これが俺の限界だ」 え、マジで言ってんの?それ。 本気で言ってるんだったら、結構ヤバいよ。 せめて速読の練習とかした方がいいと思う。 「これ、やってみて」 日本で高校生してた時に使っていた速読の教科書。 これ、結構良い教材だったから、デラパスさんでも分かると思うんだよね。 勿論、言葉は此方に変換されている。 「おう、ありがとう」 「ちゃんとやってね。その本の元を取る位は」 この世界の印刷技術は著しく、未だ手書きで出版される本が多い。 印刷される本と言うのは、学校の教科書や英雄記等、たくさんの人が読むものだけである。 その為、本は安くて銀貨5枚と、バカ高いのである。 デラパスさんも、本を見た時、最初はビックリしていたが、家の本とでも思ったのか、すんなり受け取ってくれた。 あぁ、実家が大貴族だと、こんな時に便利なんだよなぁ。 その後30分は黙々とデラパスさんの仕事を手伝い、何時もの帝会議室にテレポートした。 「先輩様!こんにちはっス!」 「あぁ、こんにちは。早いね」 「自分、下っ端なんで、雑務をやっておりました!」 「そう、ありがとう」 リンリンは相変わらず五月蝿い。 どうしたら静かに喋れるか、実験中だ。
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