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この学園の試験時間は一教科50分と少し短めだ。解くペースが早くないと、全て解き終わるのは難しい。
俺は、自習を進めようと考えたが、この後中学の後輩にも勉強を教える事を思い出し、先に明日の予習や宿題を終わらせる事に決めた。
黙々と問題に取り組む旭南君を横目に、俺も競うように課題に取り組んだ。
___比較的少なかった課題は、集中できていたからか思ったよりも早く終わった。時計を見ると45分程経っていて、あと少しで旭南君のテストも終了となっていた。
隣に座る彼の手元を見ると、ほとんど解き終わっていて、最後の問題に取り掛かっている所だった。
ペンを走らせる音と共に、解答が書き込まれていくその紙を見ているうちに、終わりを知らせるアラームが鳴った。
「終わりにして下さい」
そう告げると、旭南君はカタン…とペンを置いた。
「採点してから、出来なかった所を解説していきましょうか」
「お願いします」
旭南君から問題と解答用紙が渡されたので、それを受け取り、俺は赤ペンを手に持った。気分はさながら教師のようだ。解答と解答用紙を見比べながら、採点をしていく。
数分で終わったそれは、結果を言えば解説が必要な問題は一つしか無く、ケアレスミスも一つのみだった。
…これ、かなり凄くないか?普通、二週間前あたりだったら、勉強量的にもここまで解く事は難しいし、最後の方の問題なんてまだ授業でやっていないはずなんだが。
それにしたって、正答率が高い。此処から勉強すれば、普通に満点だって取れるはずだ。
_この学園の平均点は低い。それは時間が短い上に、難易度も高いからだ。それ故に優劣が付けやすく、最高点と最低点の幅が広い。が、最高点で満点を取ることは、中々無い事だ。俺だって数回しか取れた事がない。
ましてや、今旭南君が解いた教科である数学は、特に難易度が高い事で有名だった。
俺は内心困惑と焦りが入り混じりながらも、それを表には出さずに解説を始めた。
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