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「__ありがとうございました」
一問しかなかった解説は、あっという間に終了し、それから程なくして勉強会一日目は終了した。
旭南君の圧倒的なる天才力…いや、努力量だろう。そんなものをまざまざと見せつけられた俺が一番に考える事。
__それは、『俺も負けてられねぇな!』という対抗心だった。
だってそうだろう?俺だって何度も壁に当たり、その度に努力して超えて来た。
たとえ学年が違ったとしても、点数は高い程良い。
会長の座を奪われた今、テストの点数ですら旭南君と差がついてしまえば、
「旭南君凄い」って全生徒がなる→旭南君の信頼が厚くなる(ついでに信者も増える)→俺の成績とか見る→「えっ」ってなる→俺への信頼が薄くなる→俺おわる
こうなるのが自然だよな?!
それだけは絶対に阻止しなければ!
「八多喜ぃー、かーえーるぞー」
「…」
「おーい」
浦崎先輩に肩を組まれても反応しない程度に、俺は考え込んでいたようだ。
軽く揺さぶられて、話し掛けられていた事に気付く。
「おい、目を開けたまま死んでるのか?!」
「そこは『目を開けたまま寝てるのか?!』でしょう?!!」
今日イチのツッコミをかましながら立ち上がる。
「大丈夫か?意識が他所に飛んでいたみたいだが」
「少し考えごとをしていただけです。…あ」
「どうした?」
「これ、何枚かコピーしていっても良いですか?」
先程まで使っていた、過去問のファイルを見せながら問いかける。
「良いだろうけど、それ、一年の過去問だぞ?」
「これから中学の時の後輩に教える為に使うので」
「あー、木城っていう一年の奴か」
「…!」
納得したように頷く先輩の他に、息を呑む様な音が聞こえて振り返る。
そこに見えたのは、驚いた顔をした_旭南君だった。
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