73人が本棚に入れています
本棚に追加
「…へぇ、何か妬けるなぁ。俺だって元会長だし、そこそこ頭良い筈なんだがな」
「そこそこって言うか、学年首席じゃないですか」
そう言った所で、丁度寮に着いた。
先輩と別れようと口を開きかけると、いきなり先輩が話しだす。
「よーし決めた。明日の勉強会は俺と八多喜でペア組もうなー」
「完全に私情…!」
「じゃーまた明日な」
「ちょっ、先輩!」
反論する間もなく先輩は自室へと向かっていったので、諦めて俺も自室に戻る。
__部屋に入り、ブレザーを脱いで、そしてすぐにベッドへダイブ。このルーティーンだけはやめられない。
少し休憩した後、起き上がる。
後輩が来るまで、まだ時間があるため、夕食の支度でも始めようとした時、訪問を知らせるチャイムが鳴った。
約束の時間ではない事に不思議に思いつつも、扉へと向かう。
“ピンポーン、ピンポーン、ピ、ピ、ピンポ、ピンポーン”
__いや、めっちゃ鳴らすやん。え、何かあった?大丈夫だよな?まぁ、開けるんだけどさ。
「そんなに鳴らしてどうしt」
「藍先輩大丈夫?!」
「ぐぇっ」
扉を開けた瞬間、素早く中に入ってきて飛びつかれた。その勢いで二人共玄関に倒れ込む。
ぎゅっと抱きしめられて息苦しい。
「大丈夫?何ともない?」
「かーくん、首絞まってるから…!正直今の方が大丈夫じゃないから…!」
「わっ、ごめん!」
抱きついてきた彼、かーくんこと、木城和也は、俺の唯一の中学の後輩である。もちろん、藍先輩は俺の事な。中学の後輩とは言っても、小学生の頃から知り合いだ。だからこそ、あだ名で呼び合っている。
「というか、大丈夫って何?何かあったのか?」
「そうだった!俺、部活前に藍先輩に連絡入れたんだけど、いつもはすぐに返信してくれるのに返ってこないし、部活後に見た時も既読すら付いてなかったから、先輩の身に何かあったんじゃないかって心配で…」
「連絡…?」
そう言われて、放課後に通知が来た事を思い出す。その後ぶつかって色々あって、すっかり忘れていた。
俺は慌ててスマホを取り出し、画面を表示させる。そこに写っていたのは、
『新着メッセージが一件あります』
「…あっ」
かーくんからの連絡だった。
最初のコメントを投稿しよう!