73人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あんまり解けてないな」
「ノートも取って無かったから、解き方が分からなかったんだよね」
「それもそうか。ちょっと待ってて」
俺は自室から一冊のノートを持って来る。
「これ貸してあげるよ。去年の俺が使っていたノートだから」
「わー、ありがとう!」
「これ使って解いてみて欲しい所だけど、解説聞いてこそだからなぁ。今教えて、後で解き直す時にそれを使うか」
「後で解き直す…時間あるかなぁ」
「休み時間でも良いから。もちろん、授業は寝ちゃダメ」
「えー…って!それってノートを学校に持って行くって事?」
「そういう事。何か問題ある?」
「問題って言うより…ノートが藍先輩のだってバレたら、貸してくれーとか言われてノート争奪戦が起きるよ」
「そんな大層なものじゃないんだけど」
「学年首席のノートなんて、誰もが見たいものだよ」
「そういうものか…?」
「そういうものだよ。だから、ノートは藍先輩と勉強する時か自分の部屋で使うから」
「時間無いんじゃなかったのか?」
「テスト一週間前になれば部活も休みだから、その時にやる。…後は寝る前の少しの時間に見直すとか?」
「まぁ、好きなように使ってよ。取り敢えず、今は解説からだな」
「お願いしまーす」
「えーっと、解けていない所は……」
俺はかーくんの隣の席に移動し、解説を始めた。
旭南君の時が教師の様な気分であるなら、かーくんの時は家庭教師の様な気分であった。
旭南君の時よりも多く解説したその範囲は、久しぶりな事もあって自分にとっても良い復習になった。
…今回のテストには関係ないのだが。
そこは、次の模試か何かで活用出来たら、という所である。
最初のコメントを投稿しよう!