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「風呂上がったー」
それから十分程経った頃、かーくんが浴室から出てきた。
「じゃあ、俺も入ってくるから。先に寝ててもいいよ」
「んー」
『はい』なのか『いいえ』なのか分からない返事を返されながら、俺も浴室へ向かった。
「結局、過去のテストは使わなかったな。後で使うからいいけど」
シャワーを浴びながら、そんな事を考える。
「…そういえば、コピーする時の話でかーくんの名前が出た時、旭南君の様子がおかしかった気がしたんだよな」
しかし、旭南君の様子を思い出してみると、話しかけた時にはもう普通だった様にも思えたのだった。
「いや、そう見えただけか。そもそも同じ学年って位しか共通点無いし」
深くは聞かないようにしようと生徒会室で思っていたのにも関わらず、そんな事を思い出したのは、シャワーを浴びている事によってぼーっとしてしまったからなのか。それとも…
_興味、焦り、不安、意識、対抗心・・・
次々と浮かんでくる言葉を振り切るように浴室から出た。
「_あれ、まだ起きてたのか」
リビングに戻ると、かーくんが先程渡したノートを見ていた。声をかけるとそれを置いてこちらを向く。
「もう寝るところだけどね。藍先輩はまだ寝ないの?」
「明日の準備したら寝るよ」
「そう言って絶対勉強し始めるよね」
「どうだろうね」
「またそうやってはぐらかすー」
不満気に軽く頬を膨らますかーくんに、俺は苦笑した。…大の男が頬を膨らませても可愛くはないからな?
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