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__次の日、今日もけたたましく鳴るアラームによって起きる…はずだったのだが、
「んー…?あっついし、体が動かな……って?!」
「…すーすー」
寝苦しさによって回転し始めた思考が、俺に暑さと体が動かない事を気付かせる。
不思議に思い目を開くと、目の前には壁。そこは何ら問題は無い。
問題は腹の辺りだ。視線を向けると、腕が回されている。
思わず後ろを振り返ると、言わずもがなではあるが、腕を回しているのはかーくんであった。
自分の背中とかーくんの身体が触れている所に熱がこもっていたのか、振り返った時に少しだけ離れた部分が外気に晒されて多少涼しく感じられた。
当の本人は、暑さに負けず寝息をたてながらすやすやと眠っている。
「____すごく気持ちよさそうに寝てる所悪いけど…おーい、かーくん起きろー!」
俺の腕ごと抱きしめられていた為、かろうじて動かせる肘から下までの腕を使って、ぺちぺちと腕を叩く。
「ゔぅ…ん、藍先輩…?おはよう…」
「おはよう。んで、腕外してくれない?」
「腕…?っえ、あ、ごめん」
最初は寝ぼけていたかーくんだが、この体勢に気付くとすぐに腕を外してくれた。
「はー暑かったー、この時期にくっつくと流石にな」
「なんで俺、藍先輩の事抱きしめてたんだろ?良い抱き枕だったけど」
「人を抱き枕扱いするなよ…?!ほら、早くベッドから降りて!俺が降りれないから」
「はーい」
二人で朝の支度を始める。朝食は寮の食堂へ行こうか迷ったが、結局昨日の夕食の残りを食べた。
「忘れ物ないか?」
「今日はお母さんみたいだね」
「今日はってな…茶化すなよ」
「ごめんごめん、忘れ物は無いはずだよ。行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
朝練があるというかーくんを、先に学校へと送り出す。
いつもより早く起きたのと、食堂へ行かなかったのが相まって、時間に余裕が出来た俺は、ゆったりとした足取りで学校へと向かう事にした。
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