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普段よりも早く教室に着くと、まだあまり人は居なかった。
いつもは先にいる志津摩も、俺より後に来た。
その後、志津摩は俺を見ると驚いた様な表情を見せたり、真白が「置いていくなんて酷いー」なんて約束もしていないのに拗ねていたりなど色々あったのだが、とりあえずまぁその話はまたの機会って事で。
__キーン、コーン、カーン、コーン
放課後を知らせるチャイムが鳴る。それはつまり、勉強会二日目の始まりを知らせるチャイムでもあった。
生徒会室に入ると、昨日と同様に机の上にペアが書かれた紙が置いてあった。昨日話していた通り、浦崎先輩とペアになっているのを見て苦笑する。
「さぁ、俺たちも始めるかー」
「わかりました」
紙を眺めていると、後から入ってきた浦崎先輩に声をかけられ、すぐに勉強を始める事になった。
_勉強を始めて早数十分、一通りわからない所等をピックアップした俺は、浦崎先輩に質問をしていた。
「先輩、ここの問題なんですけど…」
「それは……をして解けるから…」
「ありがとうございます」
先輩の解説通りに問題を解いていると、ジッと見られている気がして目を向ける。
「…なんですか?」
先輩と目が合い、思わず聞いてしまう。
「いや、八多喜って、頭良い割によく質問してくるよなーって思ってただけ」
「頭良い割にって…」
馬鹿にされている気がして、ちょっとムッとする。
「…悪かったですね。俺は解説聞いて、ちゃんと理解してから自己流で解きやすく工夫する派なんです。努力してるんですよ」
「悪いなんて言ってないだろ。それに、教えたらすぐに吸収するし_教えがいがある」
珍しく俺の事を褒める先輩に、思わず狼狽える。
「そこは、素直にお礼でも言うべきですか?」
「それ以外に何を言うんだ?」
「いえ。ありがとう…ございます…?」
「なんで疑問形なんだよ」
…あれ、驚いてあんまり頭が回らなかったけど、珍しく褒められたからって、何で礼を言う流れになってるんだ?
そう疑問に思いつつも、何故か嬉しそうにしている先輩を見ると、何も聞けなくなる。
俺はどんな顔をすれば良いのかわからなくなって、解きかけのままだった問題へもう一度向き合った。
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