さぁ始めよう、勉強会!

28/30
前へ
/51ページ
次へ
質問→解説→解き直し、の順で勉強をしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。 「おーっし、今日はここまで!」 「ありがとうこざいました」 勉強を止めて先輩に礼を告げると、「どういたしまして」と返ってきた。 もう少し残っていくと言う永山と芹川と軽く言葉を交わしてから、浦崎先輩と生徒会室を出た。 「どーだった?俺の教え方は」 「どうだったかって…普通にわかりやすかったですけど」 「そうだろー?」 「というか去年も教えてもらっていたじゃないですか。何で今更…」 何故そんな事を聞くんだ?と不思議に思いながら先輩を見る。 「どうも八多喜は俺を下に見るきらいがあるからな。ここらで良い所を見せないと」 「下に見てなんかないですよ」 「いーや、去年の今頃だったらもっと慕ってくれていた!」 「去年…あぁ、俺がまだ先輩に夢見てた時の事ですか」 「あの時は『先輩、先輩!』って感じだったのに、今じゃこの反応…」 「…理想って簡単に壊れますよね」 俺かそう呟くと先輩は驚いたような表情をする。 「え、それって最初は俺が理想だったって事か?」 「?!え、いやちがっ…」 「ふーん。…でも今は俺じゃなくて旭南が理想だもんなー」 「理想じゃないです」 それは絶対にありえないと即答する。 「でも、旭南ばっか気にして追いかけてるだろ?」 「追いかけてなんかいませんよ!俺はストーカーか何かですか?!」 「ただの比喩だよ。それくらい分かるだろ」 「先輩が言うと比喩っぽく感じないんですよ。すぐに茶化したりするその性格さえ直れば、先輩は俺の理想のままだったのに」 「…」 『やっぱり俺が理想なんじゃないかー』なんて揶揄いの言葉が返ってくると思っていた俺は、突然黙った先輩に困惑する。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加