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君は正義のヒロイン前編
今度こそうまくやろう。
目立たずに黒子になって、おとなしいキャラを演じてみせる。
失敗は許されない……
突然の転校に制服が間に合わなかったからブレザーを着用した集団の中に、紺の学ランはやっぱり不自然だ。みんなが俺を振り返る。もうすでに黒子になれていないじゃないか。
先に歩くヨレヨレのジャージを着た担任のおじさん先生に続いて歩く。誰とも目線が合わないように前髪を伸ばして自分の目を隠した。
2年A組。今日から俺はこのクラスの生徒になる。一呼吸して先生に続いて教室に入った。
「クラスにひとり増えるからな。適当に挨拶しろ」そう投げやりに俺にふると、先生は窓際のイスに腰を下ろした。
静まり返る教室。クラス全員の目線が俺に集中する。どこを見たらいいかわからずに、自分の上履きに目線を落とした。
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