17人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前らうるさいんだよ」
洸夜が机や椅子をなぎ倒して男子生徒の集団に掴みかかろうとしていた。
「洸夜!だめ!」
吉沢さんが洸夜の腕にしがみついた。
「でもこいつらがあおはやを……」
「わかる。わたしだって悔しいよ。でも殴る価値なんてないから」
一瞬で次は吉沢さんが標的になり、男子生徒から罵声を浴びせられていた。
「もうやめてくれ。俺がいけないんだよ。俺が……」
俺さえこの学校にこなければ……俺さえいなければ……ふたりにあんな顔させずにすんだんだ……
「あおはや……」
洸夜が俺にゆっくりと近づき肩を叩くと俺は信じていると告げてくれた。
「洸夜……」
その光景を見ていた吉沢さんが男子生徒に振り返りゆっくりと口を開いた。
「その情報は本当なの?自分で見て、聞いたの?片方の話しだけ聞いて決めつけるなんてよくないよ。颯人くんはそんなことする人じゃない!」
「もしかして蒼井に手を出されたんじゃないか」
もうやめてくれ……彼女は俺が初めて大切にしたいと思った人なんだ。
「わたしに手を出すわけないでしょ。あんたたちみたいに平気で人を傷つけるような人じゃない。やさしい颯人くんがそんなことするはずない!言葉ひとつで誰かを傷つけることができるってどうしてわからないの?これ以上颯人くんを傷つけるならわたしが許さないから」
吉沢さんの勢いにみんなが圧倒されていた。もちろん当事者の俺も。
最初のコメントを投稿しよう!