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「あいつ怒ると恐いよな。おかんだから」
俺の肩をポンポンと叩きながら洸夜が笑っていった。
「はい。この話しおしまい。お前ら全員負け。さすが学級委員」
「うるさい。行こう颯人くん」
吉沢さんが洸夜を払いのけて俺のブレザーの裾を握った。まだ怒っている吉沢さんに引っ張られながら階段を昇る。俺の肩に腕を絡めながら洸夜もついてくる。
屋上に戻ると、吉沢さんが大きく伸びをした。
「ホントくだらないよね。やっぱり殴ればよかったかな」
俺に太陽のように温かい笑顔を吉沢さんが向けてくれた。
「美紅ならやるな」
洸夜も俺に笑顔を向けながら言った。
このふたりなら本当のことを話せばわかってくれたはずだ。このふたりを信じてもっと早く話せばよかった。
そしたらこんなことに巻き込むこともなかったと今頃後悔した。
「本当に……ごめん」
「何に対してだよ……あおはや」
「ふたりに知られたくなかった……でも」
「本当は違うんでしょ?颯人くんがそんなことするはずない。わたしも信じてるよ」
洸夜も吉沢さんの意見に同意するように頷いた。ふたりが笑顔で俺を見つめるから泣き出しそうな気持ちを抑えるのに必死だった。
「余計なことしてごめんね。でも颯人くんがあんないわれかたするの我慢できなかった。わたし正義のヒロインだから」
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