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休み時間のたびに俺の周りに女子が集まり質問攻めにあった。それをへらへらと笑顔を無理やり作って無言で返した。
「颯人っちって無口なの?でもイケメンが無口なのもいいよね」
「だよね。かわいいよね」
無難に接してかわしていれば問題は起きないはずだ。そうもうあんな思いはしたくない。
「赤学といえばカリスマ男子高生のゆうくんいるよね?颯人っち知り合い?」
その名前を聞いて俺は忘れたい記憶をフラッシュバックさせて気分が悪くなった。その名前を二度と聞きたくない!なのに俺の周りの女子は皆、ゆうの名前を出す。もう耐えられない。
「みんなうるさいんだけど。休み時間終わるから早く自分の席について」
「は~い学級委員さま」
女子が不服そうにそれぞれの席に戻っていった。
「大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「顔色よくないよ。初日だから疲れちゃったよね。無理しないでね」
吉沢さんは今までの俺の周りにいないタイプの女子だ。ホントお母さんみたいだと思ってしまった。彼女の言葉ひとつひとつが俺を落ち着かせてくれる。もっと早くに出会いたかった。
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