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放課後、洸夜と吉沢さんが俺の歓迎会だとパンケーキ屋に連れていってくれた。
「やっぱり赤学の制服連れていると目立つな。俺がモテてる気になるな。美紅が邪魔だけど」
「わたしはお母さんだからお構い無く」
相変わらず目の前で夫婦漫才を繰り広げるふたり。
「ふたりは付き合っているの?」
不意にした質問にふたりが黙る。
「こいつは親同士が仲いいから幼なじみなだけだよ」
「そうそう」
慌てる洸夜にうつ向いて赤くなる吉沢さん。きっとふたりはお互いを想っている。でもこの関係を崩さないままここまで来たのだと俺は思った。
運ばれてきた3段のパンケーキとスフレパンケーキ。見ただけで胸焼けがする。
「変なこと言ってないで食べよう。蒼井くん」
「1段目は俺のだ」
洸夜が自分のフォークで3段のパンケーキを刺すと、吉沢さんがお皿を持ち上げて洸夜の前から取り上げた。パンケーキに真っ直ぐ刺さったままのフォークが洸夜の手から離れる。
「わたしは蒼井くんって言ったの。洸夜はお預け」
「俺は犬か!あおはや助けてくれよ」
俺の肩にうなだれるように助けを求める洸夜がおかしくて思わず笑ってしまった。
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