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「吉良くんって目立ってたんだよね。あの広いキャンパスでも。……格好いいもん」
本当、格好いい。今もそう思う。
「いつも皆に囲まれて……そして、いつも違う女の子といた」
「え? ちょっと待って。それって、彼女とは限らないよね? ただの友達だったかも……」
「そうだね。でも、そう見えた」
彼は私の言葉にため息をついて、顔を背けたたまま、肘を付いた姿勢で髪をかき上げた。
彼も、そんなイメージでいつも見られる事、嫌なんだろうな。
「だいたい……1年くらい続いた子が4~5人。全部ちゃんと付き合ってた。……その、被ってたり……その間に他に手出したりしてないよ」
「うーん……短い」
「すいませんね」
「はは、仕方ないよね。モテるだろうし」
「一応……俺から……」気まずそうにそう言う。
「はいはい。イケる子に行っただけでしょ?」
「まぁ、そうだけど。ほぼ初対面なのに言うよね」
「もうちょっと言っちゃうわね。チャラい。そして、とっかえひっかえ。飽きたらポイ。そう思ってるよ? 話した事ない子は」
「……ひど……」
「そうだね。でも、そんな見た目。飄々として。軽い。でも、そんな派手なタイプばかりでもなかったよね? 連れてる子」
「たぶんね、その……派手なタイプじゃなかった子が彼女だったんだよ」
「……そっか」
梓を選んだ事に限らず、そういう人なんだろう。吉良くんは。
「梓はね……1年生の頃から好きだったんだ。吉良くんの事。
吉良くんが描いた絵を見てから。梓は……この人、絶対素敵な人だって。
繊細で……優しい絵だって。
だから、梓も吉良くんの見た目で好きになったわけでもないんだよ?
それからずーっと。……見てるだけ。その、見てるだけで良かったんだって」
吉良くんは、少し寂しそうで、それでも懐かしそうに笑った。
「……そんな前……確かに話した事……なかった。と、思う」
「あるよ。1回。そらもう、すっごい騒ぎだったから」
「覚えて……ない」
「だろうね。そんな、雲の上の人だったんだよ。吉良くん。梓にとって結局、梓とも半年くらい?」
「ああ、そうだよ。でも……真剣だったよ。俺なりに」
「そうなんだよね。……じゃあ……」
一体なぜ?こんなことになったのだろう。
「その証拠に、俺……梓が最後だよ」
彼の言葉を頭の中で、反芻した。
最後……最後……
え?
3年以上……経って……る。何が、最後?
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