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何日か、
メンタルが機能しなかった。
仕事をこなして、
ドラムの練習をこなして、
不馴れなピアノの運指も開始して、
アルコールに逃げる気すら起きずに
義務的な事ばかりを
ただこなしていた。
それを変えたのは
一本の電話。
夜の9時過ぎに
見知らぬ番号からの着信が入った。
守田か。
だったら出ない。
・・・・・・なんて。
情けない。
それは敗けであり、逃げだ。
受けて立つしかあるまい・・・
と、気構えたのも束の間、
電話の向こうは女性だった。
しかも、
聞き覚えのある特徴的な声の響き・・・
「拓真君?アカーシャの鈴です」
ハッと目が覚めた。
そうだった。
七瀬さんが鈴さんを紹介してくれたのだ。
家を探すハメになった事を
世間話程度に告げたつもりだったのに、
" 簡単です、鈴が探してくれますよ "
とニッコリ笑って
取り次いでくれたのだ。
鈴さんは不動産会社勤務、
しかもアパート賃貸の専任だったのだ。
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