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小一時間ほど
住みたい場所や予算など
細かい条件を合わせながら
10軒ほどの候補資料を揃えた。
サクサクと仕事を整えてゆく
鈴さんの手腕は
見ていて気持ちがいい程。
実は一平さんの新居やナル先輩の部屋も
鈴さんが手配したという。
「後は実際に現場を見に行って選ぶまでかな。資料見て何日か考えてから見に行ってもいいし、この近くなら今行ってもいいし」
「・・・少し考えて、また連絡します。まだ決める自信ないな」
「了解。お昼、予定あります?時間あれば隣のココス行きません?」
「・・・俺が相手だと、疲れませんか」
「どうでしょうね。一回、お話してみたかったから。あのデモアルバム、実はクロミから貸してもらって結構気に入って聴いてるし。ぶっちゃけ前から拓真君いいなと思ってたしね。あ・・・ドラマーとしてだけど」
「・・・羽場さんにご不満があると聞いてます」
フフっ、と鈴さんは笑うと、
まあ行きましょうと席を立った。
ミステリアスな視線を
印象に残す人だった。
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