第3章 保留にして

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抱えてきた? 私を保健室まで? ああ、気を失っていてよかった。 「重くなかった?」 「重くなんかないよ。逆に軽くて、ご飯ちゃんと食べてるのかと思った。」 優しい弓弦君。 今、となりにいるのは、弓弦君で琉斗じゃない。 勝った方が、私のとなりにいられる。 あの勝負は、本当だったんだ。 「着替えるね、私。」 「ああ、うん。」 白いカーテンで、ベッドを囲んで、その中で制服に着替えた。 眩しい日差しが、私の姿を白いカーテンに映し出している。 弓弦君に、見られたらどうしよう。 白いカーテン一枚が、余計に恥ずかしさを強調した。 「終わったよ。」 白いカーテンを開けたら、弓弦君は背中を向けていた。 見ないように、してくれていたのだ。 この人は、私を本当に好きなのだ。
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