第3章 保留にして

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たぶん、私の嫌がる事はしないだろう。 優しい人だから。うん。 「あっ、着替え終わったんだね。」 立ち上がった彼は、私よりも少し背が高かった。 同じ身長の琉斗より、男らしさを感じた。 でもそれでも、私は琉斗がいい。 近くにいて欲しいのは、となりに居て欲しいのは、琉斗一人だけだ。 「ねえ、弓弦君。」 「なに?ひなりさん。」 私の名前を突然呼ばれて、ドキッとした。 もしここで、断念して彼と一緒にいたら。 二度と、琉斗のとなりにいる事ができないような気がした。 「勝負で、勝った方が私の側にいるって……頭では分かっているんだけど……その、私はその勝負を承諾していないし、それで弓弦君と一緒にいるのは、何だか間違いのような気がするんだよね。」
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