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どこからか風が吹いてきて、弓弦君の体を白いカーテンが巻きつけた。
それは、弓弦君に似合っていて、彼は純白のスーツを着た王子様のように見えた。
「それは、藤井が勝っても、同じ言葉を言うの?」
身体がビクッとした。
もしかしたら弓弦君が言うように、琉斗だったら違う言葉を言ったかもしれない。
私は手をぎゅっと握り締めた。
「いいよ。ひなりさんの意見は、尊重する。」
安心して、体が緩んだ。
「でも、せめて保留にしてくれないかな。」
「保留って……」
「俺にも、チャンスをくれって事。」
私は、大きく息を吸った。
それは否定できない。
好きなのに、全くチャンスがないなんて、悲しいだけだ。
「あの……」
「いいよね。」
弓弦君は、私の言葉を遮るように、白いカーテンを手で払った。
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