第3章 保留にして

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どこからか風が吹いてきて、弓弦君の体を白いカーテンが巻きつけた。 それは、弓弦君に似合っていて、彼は純白のスーツを着た王子様のように見えた。 「それは、藤井が勝っても、同じ言葉を言うの?」 身体がビクッとした。 もしかしたら弓弦君が言うように、琉斗だったら違う言葉を言ったかもしれない。 私は手をぎゅっと握り締めた。 「いいよ。ひなりさんの意見は、尊重する。」 安心して、体が緩んだ。 「でも、せめて保留にしてくれないかな。」 「保留って……」 「俺にも、チャンスをくれって事。」 私は、大きく息を吸った。 それは否定できない。 好きなのに、全くチャンスがないなんて、悲しいだけだ。 「あの……」 「いいよね。」 弓弦君は、私の言葉を遮るように、白いカーテンを手で払った。
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