第4章 琉斗じゃなきゃ

3/5
前へ
/25ページ
次へ
和音はそう言って、私達の前から離れて行った。 「なんで、あんな事言った?」 琉斗が私に詰め寄った。 「だって、私よりも琉斗の事、知ってるみたいに言うから。」 「そんな事言ってない。ただ、俺との会話を、おまえに教えたかっただけだろう。」 私は手をぎゅっと握った。 分かっている。 私の一人よがりだって言う事。 「そんな事……」 勝手に涙が溢れた。 「分かってるよ。でも、琉斗が他の女の子と話すから。」 「俺が誰と話そうと、俺の勝手だろ?」 私と琉斗は、目を合わせた。 今までの琉斗だったら、そんな事言わなかった。 『ごめん、悪かった。』 って、微笑みながら謝ってくれたのに。 もう、そんな事すらできないの? 後から後から、涙が零れて来た。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加