第5章 勝負の行方

3/4
前へ
/25ページ
次へ
あんな事があっても、私達の間には、『付き合おう』という言葉はなかった。 私も琉斗が言ってくれるものだと思っていたし、琉斗も私が言うものだと思っているらしい。 二人の間には、どっちがその言葉を言うか、緊迫した日々を送っていた。 そんな時間の中で、私達は春休みを迎えた。 「今年から受験生か。」 「琉斗は、どこの大学受けるの?」 「ひなりと同じ大学。」 「私だって、琉斗と同じ大学受けるよ。」 私達の間には、違う時間なんて、流れていなかった。 「あーあ。そろそろ、区切りつけないとな。」 「区切り?」 すると琉斗は、私の目の前で、大きく息を吸った。 「ひなり。俺と付き合わないか?」 こんな真剣な表情、初めて見た。 「どうしたの?急に。」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加