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第2章 これが最後
25mのプールで、どちらが最初に泳ぎ切るか。
「ねえ、どっちが早いの?」
私は和音に聞いた。
「琉斗君は早いけれど、弓弦君もなかなかだって話だよ。」
つまり、どっちが勝つかは、泳いでみないと分からない。
プールの半分まで来たけれど、両方いい勝負だ。
「どっちが勝つんだろう。」
和音も一緒に、息を飲んでいる。
ゴールまであと少し。
お互いいい勝負で、おそらくタッチの差になるだろう。
琉斗、勝って!
私が両手を握りしめると、隣から声が聞こえてきた。
「琉斗君、頑張って!」
和音の声だった。
「ほら、ひなりも!」
和音に背中を押され、私は手を口に持ってきた。
「頑張れ!る……」
肝心の名前が出てこない。
その時だった。
両方ほぼ同時に、ゴールにタッチした。
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