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判定を見ていたクラスメイトは、太田君の方に手を挙げた。
「えっ……」
ゴール付近では、皆太田君の勝利ににぎわっている。
太田君は、まず琉斗に握手を求めたけれど、琉斗はそれを拒否した。
そしてただ一人、誰もいないプールサイドへ、歩いて行く。
私はそれに合わせて、琉斗に近づいた。
「琉斗。」
「なんだよ。」
「どうして負けたの?」
タッチの差で負けるなんて、琉斗は本当は私の事、好きじゃないんだ。
「……ごめん。」
「もう少し早くゴールしてたら、琉斗が勝ったのに。」
「……ごめん。」
「本当は、乗り気じゃなかったんでしょう。」
「そうじゃないけど……ごめん。」
何を聞いても、ごめんしか答えない琉斗に、腹が立った。
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