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それから昼食にカップラーメンを食べて。
母がメモに残した通り、引っ越しのご挨拶を兼ね、手土産を持ってお隣のインターホンを鳴らしてみた。
母の頼みとは言え、面倒くさいなんて思いながらも住人が出てくるのを待つ。
が……、いくら待っても反応が無い。
てことは、棚田さんはまた留守か?
見上げた表札に向かって、溜め息を吐き、再度インターホンを鳴らす。
そこから暫く待ってみても物音すらせず、諦めて部屋に戻ろうとしたその時。
ガチャリと音がして、瞬時に振り向く。
けれど、開いたのは棚田さんの部屋のドアではなく、そのまた隣の部屋のドアだった。
「あらどうも、こんにちは」
「こ、こんにちは……」
出てきたのは、ショートカットの女性と年端もいかない男の子。
おそらく親子だろう2人から挨拶され、俺は「……どーも、こんにちは」と、遠慮がちに頭を下げた。
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