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「もしかして……、早見さんのところの息子さんじゃない?」
「え? あー……はい」
和風な顔立ちその女性が鍵を閉めてから、俺に向かってしてきた質問に少し違和感を感じながら、体の向きを変えて答える。
その時男の子と目が合うも、男の子は大きな目を一瞬丸くして、母親の後ろへ隠れてしまった。
「昨日お母様が挨拶しに来て下さってね、その時に高校生の息子さんが居るってお話伺ったの。聞けばカッコよくて自慢の子だって言うから、どんな子だろうって夫とも話してたんだけど、本当にイケメン君じゃない。最近ドラマなんかでよく見る若手俳優の……」
どうやらこの人はおしゃべりらしい。
初対面にも関わらず、俺の容姿について語り出した間に、俺はまったくべつのこと考えていた。
母さんが俺のことを話したから、この人は俺がその母さんの息子だと分かったのか、と。
まあとにかく違和感の正体は分かった。
ただ果たして本当に自慢の息子なのだろうか、俺は。
ちょっと疑問なんだけど。
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