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「目は奥二重? 切れ長みたいだけど爽やかね。おまけに高身長で……」
……って、まだ続くのか。
男の子なんて、ヒーローものだか何だか分からないけれど、フィギュアで遊びだす始末だし。
一体いつになったら終わるんだろう。
そんな気持ちがつい顔に出てしまった所で、和風美人さんはハッとしたらしい、口元に桜色した指先を添えた。
「あらやだ、ごめんなさいね、ベラベラと。誰彼構わず話しちゃうの、私の癖で」
「そうですか……」
「そうなの」
フフッと笑う和風美人を俺は視界から外しながら、悪いなんて思ってないだろ絶対、と思う。
つかまったら厄介だろうから、話すのは俺はできるだけ避けたいけれど、人見知りしない母さんとは気が合うかも知れない。
「挨拶遅れちゃったわね。桜井です、どうぞよろしくね」
「あ、春のあの桜に井戸の井で桜井ね」と続け微笑んだ桜井さんに、俺は「こちらこそ」と頭を下げる。
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