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そこから駆け出そうとした。悠に会いに行く為に。
「待って」
その腕を悠馬さんが掴んで引き寄せる。
「行かせない」
哀しそうに微笑まないで。心がズキッと音を立てる。
「ごめんなさい」
だけど、どうしようもなく悠に逢いたい。
「行くな……っ」
刹那の声が耳に響いて苦しくなる。
抱き締められて思い出す。
「莉緒が好きだよ」
あの日と同じ悠馬さんの声に、心が締め付けられて動けない。
「俺の顔を見るの、辛いか?」
わたしを抱き締めた悠馬さんが、耳元に囁いた。
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