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返事をすることが躊躇われる。悠とそっくりな悠馬さんに、何を言ったらいい?
頭を撫でる手が、こんなにも優しい人に。
「莉緒」
名前を呼ばれて顔を上げた。ほんの少し見上げた目の前に悠馬さんがいる。
惑うんじゃ無い――
この腕の中から離れられないのは、惑いじゃない。
とても簡単なことに、いまさら気が付く。
『莉緒が好きだよ』
二年前からずっと。逢いたくて焦がれていたのが、悠馬さんだったから。だから手を振りほどくことができなくなるのだと。
My heart is yours.
私の心は誰のもの――
「莉緒っ」
背後からわたしを呼ぶ悠の声がした。
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