躊躇いの行方

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躊躇いの行方

 どうして。背後から聞こえた悠の声を耳にして、悠馬さんから身体を離した。  悠に見られた、抱き締められている姿を。  すぐ後ろに歩いて来る悠がわかりながら、振り向くことができなくなる。 「――悠馬」 だけど、足を止めた悠が呼んだのは、私ではなく悠馬さんだった。  わたしの肩の横に、悠が並んで立つ。真正面にいる悠馬さんと向き合う。 「どういうつもり?」 書店から追いかけて来たのか、悠の息が少し上がり肩で息をしている。 「落ち着けよ、恰好悪いぜ悠斗」  「お前のせいだろ」
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