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悠馬さんの視線が悠からわたしへと向く。
「莉緒、大丈夫か?」
きっとまた、泣きそうな表情してた。
悠馬さんが、肩で大きく息を付く。
「そんな表情、させたいんじゃないから」
細められた眼差しの中に、一瞬見せた微笑みが優しくて、何も言えなかった。
悠に促されて歩き出す。躊躇って振り返った先に、悠馬さんの遠ざかる後ろ姿が見えた。
ギュッと強く、繋がれた指に力が入る。
「行こう」
躊躇いをきっと、悠には見透かされてた。
「ちゃんと説明するから」
まっすぐな迷いの無い強い瞳に見えた。
「莉緒んち、決まりね」
まっすぐな迷いの無い声に・・・
――全部吹き飛んだ。
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