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罪と罰があるなら。
きっとこれは罪だ――
莉緒―― 名前を呼ばれた。腕を掴んで引き寄せられて、黙ったままの時間がまた過ぎて行く。
わたしの部屋に、悠がいる。
悠はソファに座らずにその下に背をもたれて。わたしはただ、悠の胸に背を抱かれて。両腕を包み込む悠の体温だけを感じてた。
「もう、大きい仕事は済んだんだ」
わたしの肩越しから、悠の声が囁きの様に聞こえだす。静かに、ゆっくりと。
「もう―― 何も心配はいらない」
舞坂沙耶のことだ。彼女の顔が浮かんでは消える。
「新作も無事に出版した。担当も替えて貰った。前の様な真似はしない」
悠の言葉に、何かが引っ掛かった。
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