躊躇いの行方

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「悠……?」 あんまり優しく微笑むから。わからなくなる。 「俺の顔、見て」  少し悪戯に笑う瞳にわたしが映る。さらさらした前髪がその瞳にかかる。何度もキスした唇の下、きれいな線の細い顎。    愛してると心を締め付けた顔―― 「俺だけど、違う。そうだよね?」 穏やかで落ち着いた低い声が、最後の確認をする。  首を横に振り続ける。 違う。そうじゃない。 ほんとうに悠が好きだった。  手をつないで歩いた。初めて抱き締めあった。彼女の存在に胸が痛くてどうしようもなかった。 「ほら、もう泣かない」  悠の腕の中、もう一度包み込まれた。
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