唯一の人

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 あ……! お店の裏通りを歩いて、駐車場へ。悠斗さんがキーを向けた車から一瞬ライトが光る。  パールホワイトの車。あまり詳しく無くて、確かじゃないけど、たぶんあの日と同じ車。 「乗って」  グレーの裾がドアを開けて、言われるままに乗り込む。助手席のドアをパタンと閉めて、悠斗さんが運転席側へ。    何処まで走るつもりなんだろう。  国道から、まさかと思ったら首都高速へ。曲がり道の多い車線をひたすら進んで行く。 「何処に向かってるの?」 問いかけに答えない悠斗さん。高速道路は夜のせいか空いていて、流れ行く景色がネオンで光って見えている。  途中で高速を降りてまた、一般道を走り抜けて、有料駐車場へと。来たことがある景色だった。すぐそばに海と、女性の銅像、それに見上げるほど高い遊技施設の入った建物達。  ほら、って。悠斗さんが手をつないでくれて、夜道を二人で歩いた。横顔を見つめながら海の方へ。  「そこで事故に遭ったんだ」 道路側に視線が向いて、それからわたしを見る。 「悠馬と二人でいた時」 「聞いたの、それはマスターから」 知りたいのは、そのあとのこと。 「しばらく…… 大変だったんだ。連絡はできなかった」 悠馬の車も携帯もだめにして、骨を折る大怪我をして、入院中は見動きできなかった、って。     
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