求愛

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 それから後の時間は、よく覚えていない。イベントは無事に終了し、舞坂沙耶は書店から立ち去り、すべき作業をこなしているうちに、仕事を終えた。  帰ろう―― 早く此処から帰りたい。  店舗の外、歩き出した。  俯いて歩いていた先に、街路樹を背に立つ姿が見えてきた。長身でスラッとした細身の身体が、わたしに気が付いて歩き出す。  穏やかに笑う表情を、もう間違えない。 「悠馬さん……」 「待ってた」 悠馬さんの右手が、わたしの手をとった。
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